2026年になり、「独身税が始まる」という言葉をよく見かけるようになった。
独身でいるだけで税金を取られるのか。結婚相談所より先に、国から独身への請求書が届くのかと思った。
しかし、調べてみると「独身税」という名前の税金が新しくできたわけではない。
その正体は、2026年度から始まった「子ども・子育て支援金制度」である。医療保険料とあわせて集められ、独身者だけでなく、子育て世帯を含む医療保険の加入者が負担する。
…なんじゃそれ。
この記事では、36歳独身会社員の俺が「独身税」と呼ばれる制度の正体と、独身者が家計の負担を軽くするためにできることを整理する。
結論|独身税という税金はない。ただし負担は増える

結論から言えば、独身税という正式な税金は存在しない。
一般に独身税と呼ばれているのは、2026年度に始まった「子ども・子育て支援金」である。
こども家庭庁も、公式Q&Aの中で「支援金は独身税なの?」という質問を設けている。制度上は独身者だけを対象にした税金ではなく、子育て世帯も負担する仕組みだ。
参考:こども家庭庁のQ&A
ただし、名称が税金でなければ財布への影響がなくなるわけではない。
会社員なら給与やボーナスから負担する。子どもがいない俺からすれば、直接利用する機会を想像しにくい制度へお金を出すことになるため、「独身税」と感じる気持ちは分かる。
しかし、今回の件で気づいた。大切なのは、刺激の強い呼び名だけで判断しないことだ。
- 誰が負担するのか
- 自分はいくら払うのか
- 減らせる負担と、減らせない負担は何か
この3つを分けて考えたい。
誰が負担するのか|独身者だけでなく医療保険加入者

子ども・子育て支援金は、医療保険の仕組みを使って集める支援金である。
税務署から納付書が届くのではなく、会社員なら健康保険料などと同じように給与から差し引かれる。そのため、正式には税金ではない。
2026年度の被用者保険の支援金率は0.23%。会社員などの被用者保険では、基本的に会社が半分を負担するため、本人負担は0.115%が目安になる。
| 項目 | 2026年度の内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 子ども・子育て支援金 |
| 開始時期 | 2026年4月分から |
| 会社員の給与天引き | 原則として2026年5月給与から |
| 被用者保険の支援金率 | 0.23% |
| 会社員の本人負担 | 原則として半分の0.115% |
| 対象 | 独身者だけでなく、子育て世帯を含む医療保険加入者 |
会社員の場合、月額の支援金は「標準報酬月額×0.23%」で計算され、その半分を本人が負担する。ボーナスも支援金の対象になる。
参考:令和8年度の標準報酬月額
一方、国民健康保険では、自治体が条例に基づいて世帯や個人の所得などから金額を決める。会社員と自営業者では計算方法が同じではない。
なぜ「独身税」と呼ばれているのか

独身者だけが払う制度ではないのに、なぜ独身税と呼ばれるのか。
理由は単純で、子どものいない人は負担に対する直接的な恩恵を感じにくいからだと思う。
子育て世帯なら、拡充される子育て施策を自分の生活と結びつけて考えやすい。一方、独身で子どものいない俺は、給与明細から引かれる金額だけが目に入る。
独身生活は、自分のためだけにお金を使えると思われやすい。
確かに、子どもの教育費や家族の生活費はかからない。ただし、家賃も光熱費も通信費も、一人で全額負担する。病気で働けなくなっても、家計を支えるもう一人の収入はない。
家族を養う負担はないが、家計を分け合う相手もいない。
そこへ新しい負担が加われば、「また独身者から取るのか」と感じる人が出るのは不思議ではない。
自分はいくら払うのか|年収550万円なら月平均約527円

俺の年収は約550万円である。
本人負担を0.115%として、年収に単純に掛けると次のようになる。
550万円×0.115%=年間約6,325円
12か月で割ると、月平均は約527円になる。
| 期間 | 俺の負担額の単純試算 |
| 1か月平均 | 約527円 |
| 1年間 | 約6,325円 |
月500円ほどなら、生活が急に破綻する金額ではない。とはいえ、1年間なら牛丼を何杯か食べられる。少額だから気にするなと言われても、引かれる側としては気になる。
ただし、この計算は年収全体に0.115%を掛けた大まかな目安だ。
実際の会社員の負担額は、毎月の給与そのものではなく標準報酬月額と標準賞与額をもとに計算される。加入する健康保険や端数処理によっても差が出るため、正確な金額は給与明細や勤務先の案内で確認してほしい。
減らせる負担と、減らせない負担は何か

残念ながら、独身だから子ども・子育て支援金を払わない、という選択はできない。
医療保険の加入者が制度に応じて負担するため、「自分には子どもがいないので外してください」は通らない。
標準報酬月額をもとに計算されるので、収入が下がれば支援金額も下がる。しかし、支援金を数百円減らすために給料を減らしたら、手取り全体も減る。
月500円を守るために、月1万円の収入を捨てるような対策では意味がない。
つまり、制度そのものを避ける裏技を探すより、正しい負担額を確認し、税金や固定費を含む家計全体の支出で取り返すほうが現実的である。
iDeCoでは標準報酬月額は下がらない

子ども・子育て支援金の負担額は、会社員の場合、標準報酬月額と標準賞与額をもとに決まる。
標準報酬月額は、基本給だけでなく残業手当や通勤手当などを含めた税引き前の給与を一定の幅で区分して決定する。
参考:日本年金機構
ここで「iDeCoの掛金を給与から引けば、標準報酬月額の区分も下げられるのではないか」と考えるかもしれない。
しかし、通常のiDeCoは加入者自身が掛金を拠出し、その掛金が所得控除になる制度である。掛金を給与天引きにしても、勤務先から受け取った税引き前の給与が減るわけではない。
したがって、通常のiDeCoでは標準報酬月額の等級は下がらず、子ども・子育て支援金を直接減らす対策にはならない。
iDeCoによって軽減できるのは、主に所得税と住民税である。独身税の対策として紹介すると、減るお金の種類が違う。
俺も最初は、控除なら何でも天引きを減らせるような気がしていた。お金の制度は名前が多い。覚えるだけで、すでに一つの負担である。
選択制企業型DCはiDeCoとは別の制度

勤務先に選択制の企業型確定拠出年金があり、給与の一部を事業主掛金として拠出する仕組みなら、現金で受け取る給与が減り、結果として標準報酬月額へ影響する場合がある。
ただし、これは個人で自由に始められる通常のiDeCoではない。勤務先が制度を導入していることが前提になる。
さらに、標準報酬月額が下がれば、健康保険料や厚生年金保険料だけでなく、将来の厚生年金額や一部の社会保険給付にも影響する可能性がある。
目の前の支援金を少し下げるためだけに選ぶものではない。勤務先の制度説明を読み、手取り、将来の年金、給付への影響をまとめて確認する必要がある。
俺の会社には無い制度なので関係なかった。
会社員が支援金だけを下げる方法は基本的にない

通常のiDeCoで標準報酬月額は下がらない。NISAや生活費の見直しも、子ども・子育て支援金の計算には影響しない。
つまり、会社員が今の働き方を変えずに、支援金だけを安くする方法は基本的にない。
標準報酬月額の区分を下げるために残業や給与を減らせば、支援金だけでなく手取りも減る。月数百円の負担を避けるために、数千円や数万円の給与を失っては意味がない。
制度の直接的な対策としてできるのは、給与明細を確認し、会社との折半が反映された正しい金額になっているかを見ることくらいだ。
節税商品を探すより先に、直接減らす方法はほぼないと理解することが、無駄な遠回りを防ぐ対策になる。
独身税の対策ではないが、これを機に月々の出費を見直す

生活費を見直しても、子ども・子育て支援金は一円も安くならない。
そのため、固定費の見直しを「独身税の節税方法」と呼ぶのは正しくない。
ただ、新しい負担が増えたことを、月々の出費を確認するきっかけにはできる。
俺の支援金は単純試算で月平均約527円。給与から月500円ほど多く引かれるなら、同じ金額以上を、満足度の低い支出から探してみる。
- ほとんど使っていないサブスク
- 契約したまま放置している有料会員
- 平日の昼食をたまに自作弁当にする
- つい買ってしまうお菓子・ジュース
反対に、満足して使っているものまで削る必要はない。
例えば俺は、エニタイムフィットネスへ月約7,000円を払っている。金額だけを見れば、支援金の10倍以上である。それでも週2~3回通い、外出する理由にもなっているので、今のところ削るつもりはない。
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月額料金が高いかどうかは、金額だけでは決まらない。使っていない500円は削り、使っている7,000円は残す。
新しい負担が増えるたびに楽しみを削っていたら、俺の身体と財布より先に生活が痩せる。見直すのは金額の大きい支出ではなく、払っている意味を説明できない支出からでいい。
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36歳独身の俺が、この制度に思うこと

子育てを社会全体で支える必要があることは分かる。
今の子どもたちが将来の社会を支える。独身者も医療、物流、介護など、多くの人が働く仕組みの中で生活している。子どもがいないから、子育て政策と完全に無関係とは言えない。
分かる。分かるんだけど…
それでも、給与から引かれる項目が増えてうれしいとは思わない。
俺は36歳独身で、将来も結婚するか分からない。自分が直接使わない可能性のある制度へ負担するなら、金額、使い道、効果は分かりやすく示してほしい。
「独身税ではありません」と名前を否定するだけでは、独身者が感じる不公平感までは消えない。
制度の目的を説明することと、負担する側の不満を小さなものとして扱わないこと。その両方が必要だと思う。
まとめ|減らせない負担より、変えられる家計を見る

独身税という正式な税金はない。
その正体は、2026年度から始まった子ども・子育て支援金である。独身者だけでなく、子育て世帯を含む医療保険加入者の全てが負担する。
2026年度の被用者保険の支援金率は0.23%。会社員は基本的に会社と折半するため、本人負担は0.115%が目安になる。
年収約550万円の俺なら、単純試算で年間約6,325円、月平均約527円。
独身であることを理由に、支援金だけを外してもらう方法はない。
通常のiDeCo、NISA、生活費の見直しでは、子ども・子育て支援金そのものは下がらない。だからこそ、俺がやることは次の3つに絞る。
- 給与明細で自分の負担額を確認する
- 支援金だけを減らす方法は基本的にないと理解する
- 制度開始をきっかけに、払う意味を説明できない月額費用を見直す
制度を完全に避ける方法はない。しかし、分からないまま不安になるより、自分の負担額を知ったほうがいい。
独身税の直接的な対策は、ほぼない。だから俺は、制度を正しく理解したうえで、これを月々の出費を再度見直すきっかけにする。
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